愛媛県(みかん県)にいると言われる妖怪一覧

  • アカシャグマ

家にいる怪。新居郡西条町付近でいう。頭の毛の赤い子供のようなもの。台所にしまった弁当のお菜を夜間に食べ、人が寝静まってから座敷で騒ぐという。

 

  • アヤカシ

海の怪。アヤカリとも。大三島。舟や磯や瀬となって見せる。船に変化したときは航海灯を反対につけ、光芒もない。避けて通ると害を受けるので、突き当たっていけばよい。タデ箸を振るうか節分の豆を撒くと難を逃れられる。

 

  • ウシオニ

海の怪。宇和島には牛鬼祭という氏神の祭礼がある。船を襲うという。

 

  • ウブメ

亡霊の怪。越智郡清水村では赤子の声が川で聞こえるのをいう。夜更けて通るとウブメが両足にもつれる。これがお前の親だといって、はいている草ぞう履りを投げると、一時泣き止むという。

 

  • エナガクレ

海の怪。柄長くれ。北宇和郡でいう。海中から出てきて「エナガくれ」という。もしこれを渡すと船に水を汲み込まれるので、底のないのを一つ用意しておくという。イナダカセと同類。

 

  • エンコウ

水の怪。河童のこと。猿との混同か。北宇和郡─猿の毛を持って泳ぎにいけばエンコウに取られないという。同郡御槇村─鹿の角の緒じめをしたり、鹿の角の箸で食事をしていくとよいという。大三島─土用の丑の日には牛を泳がせるのでエンコウが牛の虫を拾いに出るといって、子供は水辺では遊ばせない。西宇和郡伊方村─相撲取りが勝負を挑まれた。さんざん手こずり、傍らを通る人がきてエンコウは海に飛び込んだ。身体中掻きむしられ、持っていた餅は馬糞に変わっていた。越智郡関前村─相撲を挑まれたので、エンコウをまたせ、薬師堂の仏飯を食べて出ると「お薬師さんのオブッパを食ってきたな」といって去った。同村では七夕以降に泳ぐとエンコウに引かれるという。釣り舟に寝かせておいた子供をさらったともいう。

 

  • オボラビ

火の怪。越智郡宮窪村(宮窪町)で沖に見る怪しい火をいう。この火は墓地でも見るという。

 

  • カネノカミノヒ

火の怪。金の神の火。怒和島。大晦日の夜更けに、氏神様の後ろに提灯のような火が下がり、わめくような声を聞く者がいる。老人はこれを歳とし徳神がいられたという。

 

  • カラステング

山の怪。烏天狗。六歳の男の子が石槌山の山頂でいなくなった。いろいろ探したが見つからず、やむなく家に帰るとすでに子供は戻っていた。山頂の祠の裏で小便をしていると、真っ黒い大男が出てきて子供をたしなめ、「送ってあげるから目をつぶっておいで」とやさしく言い、気がつくと自分の家の裏庭に立っていたという。

 

  • ジキトリ

山路の亡霊。旅人を悩ませて飢餓せしめるという。

 

  • シラミ

海の怪。北宇和郡下した波ば村でいうミサキの一種。夜、海が白くなって泳いでくるもの。漁師はこれをバカという。しかしバカというのが聞こえると怒って櫓ろにすがり、さんざんな目に遭わされる。

 

  • タヌキノカイ

動物の怪。狸の怪。ある村の女が狸と交わり、一度に狸六匹を産んだという。

 

  • チンチンウマ

動物の怪。越智郡大三島でいう。年の暮れなどの寒い晩に出る首のない馬の怪。

 

  • ツチノコ

動物の怪。蛇に似るが胴が太く、バックすることができるという。

 

  • ニュウドウ

水の怪。入道。河童に似て人に相撲を挑んだりする。昔、鵜島の入道鼻にお化けが出て、夜遅くそこを通ると「舟をつけてくれ、舟をつけてくれ」といった。ある力自慢の男が舟をつけると、入道が現れて舟ごと陸に引き上げた。男は入道を投げつけ、相撲になった。やがて鶏が啼くと入道は「今夜はもう止めよう」といった。気がつくと、男の体には毛がいっぱいついていた。それから三日ほどして男は死んでしまった。

 

  • ヌレオナゴ

海の怪。濡れ女子。怒和島・二神島。髪が濡れたまま海から出てくる妖怪。宇和地方では海から出てくるとはいわないが、やはり洗いざらしの髪で出てきてニタリと笑うからワライオナゴともいう。こちらも気を許して笑うと一生執念深くつきまとう。

 

  • ノヅコ

山の怪。南宇和。夜、山道を歩いていると、暗闇の中でギャッという薄気味悪い叫び声を上げる。その途端、足がもつれて歩けなくなることがある。

 

  • ノビアガリ

道の怪。伸上がり。北宇和郡下波村でいう。見るほど高く上がる怪で、獺が化けたものという。地上一尺くらいのところを蹴り、目をそらすと見えなくなる。

 

  • ヤマジョロウ

山の怪。山女郎。北宇和郡明治村目黒でいう。子供を抱いている女というが、これを見た人はいっさい人に語ってはならないという。

 

  • ヤマンバ

山の怪。山姥。宇和地方。奥山に住んでいて、人の子をさらって歩く。口が耳元まで裂け、唇にはいつも紅の血がついているが、これは里の子を食べたときについたという。

 

  • ユキンバ

雪の怪。雪婆。北宇和郡吉田町。冬、雪が積もっている頃などには、ユキンバが来るといって子供を屋外に出さないよう注意する。ユキオンバともいう。

 

  • ロクロックビ

家にいる怪。轆轤っ首。江戸時代の拳法家の女使用人がそうだったという。夜半過ぎ、女の胸のあたりから蒸気のようなものが出始め、すぐに肩の上が見えなくなるほどになった。ふと桁上の欄間を見ると、その女の頭だけが欄間で眠っていた。見ていた者が驚いて立てた音に、女が転びふせると、煙は消え、頭は元通りになっていた。本人はこのことは露知らぬという。